子供の潜在能力を伸ばす“魔法のメッセージ”

こんにちは、ベビーケア専門家/認知発達研究者の米井佳寿子です。
今日は子どもの潜在能力を伸ばす秘訣をご紹介します。

先日、親御さんからこんなお話を聴きました。

「小学生になって英語が始まったんだけど、どうも息子は苦手みたいで。みんなの前で失敗するのが嫌なのか、先生に当てられても下向いて黙ってるし・・・。夏休みも宿題がたくさん出たんだけど、僕はバカだから英語はできないって言い張って全然進まなかったんです。まだアルファベットを覚える段階なのに・・・。英語は絶対に話せるようになって欲しいと思ってるんだけど、このままだと苦手意識が付きそうで困ってるんです。」

恐らく多くの親御さんが「あぁ、あるある」と感じられるのではないでしょうか。

多様な体験にチャレンジして、たとえ失敗してもくじけない心を培って欲しいけれど、現実はなかなか難しい場面もあります。
そんな時に、親御さんや子どもたちに関わる保育・教育者の方にぜひ子どもたちに心を込めて伝えてもらいたい“魔法のメッセージ”があります。
それは、“知能や能力は生まれつきのものではなく、環境や働きかけによって変化・成長していく”ものだということです。極端な言い方をすると(大人にとってはちょっと耳が痛い?ですが)、“努力すれば頭は良くなる”という考え方です。

スタンフォード大学のキャロル・ドゥエック博士は、このような、知能に対する考え方・捉え方によって子どものパフォーマンスが劇的に変化することを研究しています。
博士によると、知能に対する考え方は以下の2つに分類できます(1)。

カチコチ脳:脳は固定的で、自分で変えることはできない生まれつきのもの
やわらか脳:脳は柔軟に変化し、自分の努力によって成長させることができるもの

カチコチ脳を信じている子どもは、失敗をするとその原因は自分の能力が低いことだと結び付け、ネガティブな感情が生まれます。そして、モチベーションが下がり、結果としてその後の挑戦に回避的になるのです。
一方で、やわらか脳を信じている子どもたちは、失敗すると、今度は別のやり方を試してみようと失敗から学び、モチベーションが湧いてきます。結果として、更なる挑戦に前向きになれるのです。
博士らがアメリカの中学生に行った研究では、やわらか脳の考え方について先生がワークショップをし、その考え方を身に着けた生徒たちは、単なる学習スキル(読み書きなどの学ぶために必要な技術)を教えた生徒に比べて、学習習慣、成績ともに劇的な向上がみられたのです(2)。

一人ひとりが大きな可能性を秘めたこどもたち。
ぜひ、みなさんも日々のやりとりの中で子どもたちにやわらか脳の考え方を伝えていって欲しいと思います。

やわらか脳メッセージの効果を100倍にするたったひとつの秘訣があります。
それは、大人がやわらか脳の考え方を本気で心から信じて、子どもに伝えることです。

七転び八起き。
大人の私達はどのくらいできているでしょうか?
私達も彼らの姿から学びながら、一緒に成長し続けていきたいですね。

参考文献:
(1)Dweck, C. S., & Leggett, E. L.(1988). A social-cognitive approach to motivation and
personality. Psychological Review, 95, 256─273.
(2)Blackwell, L. S., Trzesniewski, K. H., & Dweck, C. S. (2007). Implicit theories of intelligence predict achievement across an adolescent transition: A longitudinal study and an intervention. Child Development, 78(1), 246-263.