認知科学に学ぶ子育て

今日は、科学的知見を活かした子育てとはどういうことなのか、超早期英語DVD教材を例にみなさんと考えてみたいと思います。

 

これから更に加速するグローバル化に向けて、幼い内から英語を身につけてほしいと願うご両親は非常に多いと思います。ご両親のこの気持ちは、とってもよくわかります。私も、留学先の同級生や会社の同僚のネイティブを羨ましく思ったことがありますから…。そしてこうしたご両親の気持ちを更に駆り立てるような、「英語耳」などの文句を使った0歳からのDVDやCDの英語教育教材の広告をよく目にします。さて、このような教材は英語習得に本当に有効なのでしょうか?

 

確かに、0歳の赤ちゃんは大人には聞き分けられない英語の「r」と「l」を聞き分けることができると実証されています。赤ちゃんは、大人の言っていることを理解するために、身の回りで話されている言葉を自然に習得するのです。この点で、大人とちがって赤ちゃんは「英語耳」を持っていると言えます。しかし、このような外国語の聞き分けは、“実際に”人が話しかける場合でないと区別できないということがわかっているのです。生後9ヶ月の赤ちゃんに英語を話している人のCDを聞かせたりDVDを見せたりしても、「r」と「l」の区別はできるようにはならないのです。つまり、科学的に考えると、CDやDVD教材による赤ちゃんの外国語習得の効果は期待できないのです。こういった類の教材は、往々にして高額です。「英語教育」だけを考えれば、同じコストをかけるのであれば他の選択肢を選ぶことが妥当です。

 

しかし、私はこうした英語教材を購入する=NGな育児、だとは思っていません。それは、子どもの育ちにおいて、「英語教材のDVD」はほんの小さなひとつの要素であって、もっと広い目で観ていく必要があるからです。もしかすると、子どもがDVDを見ている間に、家事を集中して片付けて、子どもとゆっくり向き合う時間を確保されているのかもしれません。子育ては科学的な0か1の単純思考ではすべてを語ることができないのです。それでも、私がこうした科学的知見を届けたいのは、情報を知っているか・いないかで選択が変わり、更にその選択に自信を持つことができるかもしれないと思うからです。

 

ご両親のお子さまを思う気持ち、より良い環境を整えてあげたいという愛情に触れるたびにいつも胸が熱くなります。だからこそ、子育てや教育に迷ったときに少しでも役立つ情報をご紹介していきたいなと思っています。次回は科学的に考える、子どものほめ方、能力の伸ばし方をご紹介します!

参考文献:

Kuhl, P. K., Tsao, F. M., & Liu, H. M. (2003). Foreign-language experience in infancy: Effects of short-term exposure and social interaction on phonetic learning. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 100(15), 9096-9101. doi:10.1073/pnas.1532872100 [doi]