ワーママはマルチタスキングが得意?

こんにちは、ベビーケア専門家/認知発達研究者の米井佳寿子です。

新しい年が始まりましたね!今年もよろしくお願いいたします!

 

さて、私はこの冬休みは必要最低限以外のネットやSNSなどを絶つソーシャル断食をしていました。今では、家でも移動中でも休暇先の海外でも(!)仕事ができるようになり、ワーママにとっては働きやすい環境が整ってきました。一方で、子どもがいる生活だと、両立のコントロールが難しいと感じておられる方が多いのではないでしょうか。24時間仕事とつながる社会では、育児と仕事にかける時間のコントロールもさることながら、ワーママの感情のコントロールも非常に難しい問題だなと感じています。

 

例えば、“本当は家には仕事を持ち込みたくない”という思いとは裏腹についつい家で仕事に集中している時に限って、タイミング悪く子どもが泣きながら何か訴え始めて…こんな時、言い方は悪いですが、子どもに “邪魔された”というような感情が生まれるのはないでしょうか。そして、子どもがいるのに仕事をしてしまった自分に後悔する…。でも、家でもついつい仕事をしてしまったり、それを子どもに中断されたと感じたりしてしまうことはごく“自然な”ことなのです。だから、ぜひ必要以上に自分を責めて罪悪感を抱え込まないで欲しいです。

 

私がそう考える理由を少しお話しましょう。まず一つ目は、メールのようにいつ何が来るかわからないスリルのあることは、脳にとって中毒性があるのです。心理学でオペラント条件付けといいます。すごくざっくりと説明すると、人はあるAという行動をしてご褒美がもらえることを学習すると、自発的にAをするようになる、というメカニズムです。仕事のようにスリルあることは脳にとっては大変魅力的なご褒美です。メールを開けばそのご褒美をもらえると学習すると、益々メールチェックをしたくなります。且つ、メールのようにいつ届くかわからないご褒美はいつでももらえるご褒美に比べて、もっと脳にとっては嬉しいのです。なので、本当は何も来ていなくても、(何かあるかもしれないと脳が期待して)ついついスマホをチェックしてしまうのです。更に、そのご褒美を探している状態を子どもの声が遮ると、“邪魔された”と否定的に感じてしまうのです。なので、子どもを無視して仕事をしてしまったと自分を責める必要は全くなくて、脳がアディクトされているという人のメカニズムとして少し俯瞰してゆったりととらえて欲しいのです。

 

二つ目に、マルチタスクは脳にとっては大変負荷の高い処理です。仕事に集中している時に、脳が耳から聞こえてきた子どもの泣き声を受け取ると、フル回転していた仕事の処理を抑制して、子どもの声を選択するという切り替えが働きます。人間の脳にとって、この処理の切り替えは大変な作業なのです。研究者の中には、モードの切り替えによって、記憶の定着や意思決定に悪影響が出るため、マルチタスキングは非効率だと主張する人もいます。更に、脳の使い方の切り替えだけではなく、例えば“子どもの泣き声で中断された”というネガティブなホルモンが分泌された場合、その感情のモードをニュートラルに切り替えるのにもまた大変なエネルギーがかかります。このようにワーキングマザーは24時間マルチタスキングの強化合宿状態なのです。私の想像の域を出ませんが、ワーママは仕事が早いとか、周りを巻き込むのがうまいなどと言われるのは、恐らくこの強化合宿のおかげで脳の処理機能と感情モードの切り替えが訓練されるからなのではないでしょうか。

 

ワーママにとって、“家にいるより、仕事場にいる時の方が楽”というのは、本音であり、人のメカニズムからしてもそうだと思います。子育てに真剣に向き合っていると、様々な葛藤や感情を経験すると思います。それでも、私はそんな子育て経験が仕事にも人生にもポジティブな成長を与えてくれる経験だと信じています。今年もミラママのみなさんに寄り添って、より生き生きと輝ける方法を一緒に探していきたいと思います!